
About
研究室について
文化財保存学とは、人類の辿ってきた情報が内包された文化財を、歴史学的に、技法材料学的に、自然科学的に、地域社会学的に調べ、文化財の有する本質的な価値や意義の考察、研究に基づいて、未来へ継承していくための保存修復を実施することを探求する学問領域です。文化財保存学保存修復研究室では、様々な表現形態からなる文化遺産のうち、仏像、神像、近代彫刻、キリスト教彫刻、考古遺物などの国内外の彫刻文化財を対象とした文化財の保存修復に関する研究を行っています。
研究室の理念

文化財には、制作当時の情報、現代に伝わるまでに付加した情報が内包されています。それらの情報を調べることが、文化財が有する本質的な価値を図るために必要となります。文化財のもつ情報の適切な把握には、文化財が有する歴史性、芸術性、宗教性、地域性、民俗性などの様々な観点による多角的な考察を行わなくてはなりません。そのためには、文化財の形状、使用材料、構造技法、表現技法、文字資料、付属資料(納入品や奉納札、寄進状等)などを歴史学(歴史学・美術史学・郷土史学・民俗学・宗教史学・考古学など)的に、技法材料学的に、自然科学的に、地域社会学的に調べていくことが重要となります。また、文化財が設置されている場所の温湿度、虫菌害、空気汚染などの保存環境とともに、社会的背景についても検証しなければなりません。彫刻文化財は、木・漆・土・金属・石・顔料・染料・膠着材・接着剤などの様々な素材を加工して制作されてきましたが、制作後に補われた修理の歴史も含めて検証していくことが重要となります。
メンバー
教員
森 淳一|本学美術学部彫刻科教授(兼担)
学生
沿革

1887年 | 岡倉天心を初代校長として東京美術学校を前身とし本学設立 |
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1898年 | 日本美術院(現・公益財団法人日本美術院)を設立 |
1906年 | 日本美術院第二部として奈良に仏像修理事業を専門とする 美術院(現・公益財団法人美術院国宝修理所)を創設 |
1967年 | 東京藝術大学(大学院)に設立された保存修復技術講座に本研究室設置 西村公朝(当時、美術院国宝修理所所長を兼務)を主任教員として研究室をスタート |
1987〜2004年 | 長澤 市郎 勤務 |
1995年 | 大学院美術研究科の独立専攻として現在の文化財保存学専攻が設立 |
2004〜2020年 | 籔内 佐斗司 勤務 |
2021年〜 | 岡田 靖 勤務 |